忘れていないか、シニア世代…これから爆発的に伸びてくるスマホユーザー層の秘密とは?

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 スマートフォンだの、タブレットだのと世間で騒がれてはいますけど、そういう新たなガジェットも所詮は若い人向けのもので、いまだに中高年はテレビに新聞さえあれば大満足…といった印象の強い方はいらっしゃいませんか? そんな認識は確かに当たっている面もあるかもしれませんが、実は大きく時代の波が変わり始めているようですよ〜

 例えば、米調査機関のPew Internet & American Life Projectが発表した「Networked: The New Social Operating System」リサーチレポートに基づく、最新の世代別ネット利用度を示した上のグラフ画像をご覧ください。ほぼ100%に近い男女がインターネットを使っている30代以下の世代と比較すると、やはり年齢層がアップするごとにネット利用度は低下する傾向にありますが、それでも、すでに米国では65歳までの高齢者層においても、約8割は日常的にインターネットを活用しており、70歳前後でもネット接続率は7割近くまで向上してきています!

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 おまけに興味深いのは、いざインターネットの利用環境さえ整ってきてしまえば、各種サービスの利用度は年齢が異なっても大差なくなってきていることでしょうか。上のグラフ画像には、世代別に見たネットユーザーのEメール利用率が示されていますけど、もはやどの年齢層でも利用率は同じと考えてもよいくらいになってきていますよね〜

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 ところが、いまだに年を取るごとに大きく利用率が異なってしまうものがあります。今度は世代別に見る米国内のスマートフォン普及度の違いを示した、上のグラフ画像をご覧ください。50代を境目にして、スマートフォンユーザーの割合はガクンと落ち込みを見せ、65歳を超えるリタイア世代にまで至ると、もはや9割の高齢者はスマートフォンなど触れたことすらないという無縁の世界に! 古くからスマホ超大国として世界に先駆けてトレンドを牽引してきた米国においてさえ、なかなか高齢者層でスマホやタブレットの利用が進んでいないのですから、日本国内の事情など、なおさらその傾向が強いのは仕方ないことでしょうかね…

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 ところが、こうした高齢者による新たなガジェットや関連サービス利用の出遅れに目をつけて、いち早く需要の開拓に成功する企業が現われ始めています。例えば、オーストラリアの大手通信キャリアとなるOptusは、50歳以上の中高年ユーザーに向けてFacebookの利用を促進させるキャンペーンを展開。当初は若いユーザー層ばかりが目立っていたFacebookでしたが、ある時点から爆発的な伸びをシルバーユーザー層で見せ始め、なんと現在ではオーストラリアの高齢ネットユーザーの4人に3人以上がFacebookユーザーとなる人気ぶりですよ!

 同社によると、中高年ユーザーのFacebook利用目的は、子どもや孫とのコミュニケーションツールから、昔の同窓生との再会や交流の発展に至るまで、実に多岐に及んでいるものの、いざ普及に弾みがつくと、そもそも時間やお金には余裕がある年齢層なので、Facebookを使いたいという願いにさえ火がつけば、後は簡単に利用スタートまで漕ぎつけられる特性があったんだとか。ちなみにオーストラリアでは、家族から遠く離れて暮らす高齢者が、コミュニティーからの孤立を避けて、医療福祉やヘルスケアのサポートを密に受ける上でも、Facebookによるコミュニケーションが非常に有用であることが評価され始めています。日本の高齢化社会の問題に取り組む面でも、ここには大きなヒントが隠されているかもしれませんよね〜

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 このところ、先進諸国においては、初めてスマートフォンを手にするファーストユーザーの需要の落ち着きから販売停滞傾向すら目立ち始めており、よりユーザー層を広めるためにも、新たに女性ユーザーへのアピールを強めたり、まだフロンティアの残る発展途上地域への進出強化が企業戦略に採用されるようにはなってきましたが、米調査会社のGartnerは、隠れたマーケット需要としてのシルバーユーザー層へのアプローチの重要性を説き始めていますよ!

 そもそもスマートフォンやタブレットが若いユーザー層にのみ訴求されるカテゴリーであるならば、もはや頭打ちは避けられないことが、上のグラフデータにも示されています。欧米諸国などで高齢化が進んでいるのは周知の事実ですが、なんとGartnerの「The Silver Market: Rethinking Aging Consumers」調査報告書によれば、すでにアジア太平洋地域全体でも、50歳を超える中高年人口の割合は4割に迫る規模に…このユーザー層を無視した製品展開をしていては、新興諸国でも成功はおぼつかなくなってきているのですよね。

 同報告書では、Gartnerのデービッド・ファーロンガー副社長が「新技術の開発者やメーカーは、中高年ユーザー層という巨大な成長市場を素通りする過ちを犯してきた。しかしながら、その結果が、近年のビジネス低迷や売上高の減少という厳しい現実である。若いユーザー層の市場成長には陰りが見られ、購買能力に限界が感じられる一方、シルバーユーザー層には飛躍的な潜在成長力と余裕を感じさせる購買能力という魅力が備わっている」とのコメントが紹介されており、今後ますます高齢者層をターゲットにする重要性は増していきそうですよ。

 なお、Gartnerでは、これから新たに中高年ユーザー層を狙ったアプリやサービス展開を進める上で、高齢者にも優しいユーザーインターフェース(UI)の実装が喫緊の課題であると指摘しています。視力が落ちても見やすく、手先が器用に動かなくなってきても使いやすいUIの工夫が求められていますよ。こうしたアプローチの一環で、日本国内では「らくらくホン」がヒット商品になったりもしてきましたけど、高性能かつ高機能なスマートフォンを、そのままシニアユーザーに向けて売り出せるアイデアが、いま最も求められているのかもしれませんね。また、アプリの購入方法が簡単であることや、より信頼性のあるレビュー評価が重視されること、意外に知り合いからの口コミや電話セールスなどのアナログなアプローチのほうが好まれるなどなど、本気でシルバーユーザー市場を狙うのであれば、ビジネス戦略を根底から見直すことさえ求められてきそうですよね〜

 最初に若者が飛びつく新たなガジェットとしての位置づけから、いまや中高年のユーザー層への普及が求められる段階まで成長変化してきたスマートフォンやタブレット…爆発的にシルバーヒットするアプリなんて出してくることができれば、きっとこれからは面白い展開になるでしょうね!

Gartner
http://www.gartner.com/

Optus
https://www.optus.com.au/

Pew Internet & American Life Project
http://www.pewinternet.org/